久遠の花~blood rose~【完】

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 ――不思議。
 ここには、余分なモノが存在しない。
 今まで生きてきた中で、最も解放的な気分。
 体という隔たりがなく、全てにおいて平等――そんな感覚が、〝私〟という〝個〟を無にしていく。



 必要なのは力。 〝私〟にはない。
 必要なのは血。 〝私〟ではダメ。



 きっと目が覚めたら、私は私ではいられないと思う。
 だってもう、〝私は〟選んでしまったから。
 後悔しないつもりだったけど……やっぱり少しだけ、後悔はある。
 私のせいで、酷い目にあってないかとか。
 おじいちゃんや先生。叶夜君や雅さん。お姉さんのことも。大事なみんなのことが、心配でしん、ぱ、い――。



 ――――ピキッ。



     ――――ピキッ。



 何かが、音をたてて割れていく。



 今……なにを、考えてた?



 意味のわからない文字が並び、それがどういうモノなのかわからない。

 コ、
   ウ、
     カ、
       イ、


         シ、
 ン、
         パ、
 イ、


       ダ、
       イ、
       ジ、



 考えてはダメ。 私が壊れる。
 知ってはダメ。 私が保てない。



 それが私の。
 それがあなたの。



【呪いと――罰なのだから】


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