好きになんてならない
「っ……」
ぶつかったと同時に勢いよく尻もちをついてしまって購買で買った袋を落としてしまった。
「蛍!大丈夫っ??」
怜菜が心配しながらも私が落とした袋を拾ってくれた。
尻もちついて倒れるなんていつぶりだろう。
転んだ事すら記憶に新しいものはないのに。
ぶつかった相手も痛かったはず…
すみませんと謝ろうとした時私の目の前にスッと綺麗な手が現れて…
「すみません、よく前見てなくてぶつかってしまいました。
大丈夫ですか?」
高くもなく低くもないけど心地いいそんな声が頭上から聞こえた。
顔を上げて相手の顔を見る。
「ほ…蛍っ……!!
この人………」
相手の顔立ちと怜菜の慌てようで、何となく誰なのか察しがついた。