好きになんてならない
「とりあえず俺達の今年の目標は本気の恋だな!」
目を細めて笑う涼に俺も笑ってそうだなと言い返す。
本気の恋出来たら高校生活も今以上に楽しくなりそうだけどそんな相手がいないしな…
そんなことを考えながら前をよく見ずに歩いていたらドンッと誰かとぶつかってしまった。
ガサッと袋が落ちる音と同時に女の子の声が耳に入る。
「蛍!大丈夫っ??」
パッとその方向を見ると上履きの色を見る限り3年で、どうやら1個うえの先輩にぶつかってしまったみたいだ。
一瞬涼をチラッと見てみると口をポカーンとあけて固まってる。
その姿に疑問を持ちながらも、ぶつかってしまった先輩に手を差し伸べた。
「すみません、よく前見てなくてぶつかってしまいました。
大丈夫ですか?」
目の前にいる先輩はゆっくりと顔を上げた。
髪の毛で隠れていた顔がハッキリ見えて、お互いの視線が絡む。