憎き上司の子を懐妊したのち、引くほど溺愛されている件について。
…もう、私自身のことも分からない。
嫌なのに。結城さんのこと…本当に嫌いなのに。
触れられる下半身は疼き、蜜が溢れ続けている。
あんなに酷いことをしてきた男だと言うのに、身体は従順になって…どうしようもない。
「…身体は素直だな」
「黙って下さい…」
結城さんも自身の衣類を剥ぐように脱いで、何の躊躇いもなく硬くなったものを押し当ててくる。
そして避妊具の装着もせずに侵入してくる結城さんに、思わず腕が伸びた。
「ま……、待って…本当に…」
「孕ませるって言っただろ。大丈夫だ、沢城。もし本当に妊娠したら、俺のことが嫌いなお前を…俺が誰よりも大切に愛してやる」
「い……意味分かんない…」
そう呟くと同時に奥まで侵入してきた結城さん。
いきなり奥を突かれ、一瞬視界が閃いた。
苦しそうな、悲しそうな、けれどどこか嬉しそうな。
そんな色んな感情が見える結城さんの表情に、また嫌悪感を抱く。
だけど…私の身体は本当に馬鹿正直だ。
気持ち良さを感じ始めた身体は、私の意思を無視して結城さんを求める。
「結城さん…嫌い。嫌だ…」
「そう言う割に、締め付けているのは何故?」
「嫌だ……嫌い…っ」
「……憎くて嫌いな人に抱かれているのに、気持ち良いんだね」
「結城さん、嫌い…!! 大嫌い……!!」
「はぁ…っ……。もう、駄目。最高すぎる…」
私が『嫌い』『大嫌い』だと言う度に、大きく硬くなる。
「限界…」と呟いた結城さんは唇を強く噛みしめて、苦しそうな表情のまま…私の中で果てた。
最初、私に酷い態度を取り始めたのは…結城さんの方なのに。
冷たく厳しいこと言ったのも。
他の女性社員と差別をしたのも。
私にだけ…残業させて…仕事を押し付けて。
私の成果は…全部横取りをして……。
私は結城さんが部長になった時から
昔と変わらず…支えるつもりだったのに。
だから、意味が分からない。
結城さんだって私のことが嫌いなはずなのに。
『孕ませたい』『抱きたい』と言って
本当にこうやって私のことを抱いて。
しかも嫌いな女相手に、ちゃんと中で果てることができて。
そして……今。
力尽きた結城さんに抱き締められ、ベッドで2人が横たわっているこの状況。
何一つ、理解できない。