憎き上司の子を懐妊したのち、引くほど溺愛されている件について。
それからの結城さんは、私の身体を気にしつつ、相変わらず『孕ませたい』『抱きたい』と言葉を掛けてきていた。
でも全部無視。
あの時は会社を辞めるから、その代わりに抱いても良いと言っただけ。
会社を辞めさせてくれないなら。
もう結城さんに抱かれる理由は無い………。
「………うっ」
「ん、どうした?」
「……」
ある日の残業中。
いつも通り結城さんと2人きりの時、急な吐き気に襲われた。
「沢城?」
「………」
やばい。
そう思い、走ってトイレに駆け込む。
「………」
まさか。
まさかね。
まさか、まさか。
「……はぁ…………」
苦しい、気持ち悪い。
そういえば今月、生理予定日を過ぎているとは思っていたけれど…。
まさかね。
まさか、まさか。
「…………」
なんて思いつつ。
結城さんと身体を重ねて…1か月半くらい経ったかな…?
そんなことが気になり、頭から離れなかった。
「……沢城…大丈夫か? 体調が悪いのか?」
「大丈夫です。何もありませんし、結城さんには関係ありません」
「…………」
なんて強がったけれど。
その後も不定期に吐き気に襲われ、次第に食事も取れなくなってきた。
経験したことの無い体調の変化。
生理も来ないし……。
そう思って何となく妊娠検査薬を買って試してみたところ……。
なんと……陽性だった。