天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
◆ ◆ ◆
「頑張れよー」
と気の抜けたエールを加賀美先生に送られながら、私は生徒会の寮に再び足を踏み入れた。
「遅かったな、逃げ出したのかと思ったぞ」
そう言ったのは東条くん。
エントランスのソファには四人が座っていた。
結構時間が掛かったと思うのに、みんな部屋に入ってなかったんだ?
「すみません。加賀美先生と話をしていて」
メガネをくいっと上げながら、私は彼らに近付いた。
偏差値の高い顔面が私を一斉に見つめてくる。
「君がいない間に僕たちで部屋割りを決めさせてもらったよ」
西園寺くんが言って、どきりとする。
私、一体、誰と一緒の部屋になったんだろう。
この中だったら、優しそうだから天使組の二人がいいけど。
「君は晩と一緒の部屋だ」
ガーンと大きな鐘が頭に落ちてきたような衝撃だった。
悪魔と同じ部屋……。
しかもなんか一番冷たくて口悪い東条くん。
このがっかりをなんとか隠すために「はあ」と間の抜けた返事をする私。
「まあ、今日はね。毎日ローテーションってことにしたんだよ」
伊集院くんが順番に東条くん、京極くん、西園寺くん、そして、自分と指差した。
よかった。いや、よくはないんだけど。
とりあえず、優しいターンもありそう。
「お、お世話になります」
そう言うしかないじゃん。
だって、普通の寮に行ったらいじめられるとか加賀美先生が言うから。
「じゃあ、こっち来い」
東条くんに呼ばれて、彼の前に立つ。
あの、その手に持ってるのって……
「これでよし」
腕章ですよねぇ! これっ! 今私のブレザーの腕につけたやつ!
なぁあああ、もうこんなの首輪じゃないですか!
東条くんがつけた腕章には『親衛隊隊長』と黒地に赤い字で書かれていた。
「わぁ、なんか似合うね、雪ちゃん」
伊集院くん、キラキラの笑顔で喜んでるところ悪いんですが、これ、そんなに気分良いもんでもないですよ? 似合ってて、全然嬉しくないです。
「あり、ありがとうございます。伊集院くん」
「んー、灯でいいよ」
「どうもです、灯くん」
灯くんは男の子にしては話しやすいし、助かる。
この腕に引っ付かれなければ、もっと。
「おい、こいつは今日、俺の部屋で寝んだよ。横取りすんな」
「頑張れよー」
と気の抜けたエールを加賀美先生に送られながら、私は生徒会の寮に再び足を踏み入れた。
「遅かったな、逃げ出したのかと思ったぞ」
そう言ったのは東条くん。
エントランスのソファには四人が座っていた。
結構時間が掛かったと思うのに、みんな部屋に入ってなかったんだ?
「すみません。加賀美先生と話をしていて」
メガネをくいっと上げながら、私は彼らに近付いた。
偏差値の高い顔面が私を一斉に見つめてくる。
「君がいない間に僕たちで部屋割りを決めさせてもらったよ」
西園寺くんが言って、どきりとする。
私、一体、誰と一緒の部屋になったんだろう。
この中だったら、優しそうだから天使組の二人がいいけど。
「君は晩と一緒の部屋だ」
ガーンと大きな鐘が頭に落ちてきたような衝撃だった。
悪魔と同じ部屋……。
しかもなんか一番冷たくて口悪い東条くん。
このがっかりをなんとか隠すために「はあ」と間の抜けた返事をする私。
「まあ、今日はね。毎日ローテーションってことにしたんだよ」
伊集院くんが順番に東条くん、京極くん、西園寺くん、そして、自分と指差した。
よかった。いや、よくはないんだけど。
とりあえず、優しいターンもありそう。
「お、お世話になります」
そう言うしかないじゃん。
だって、普通の寮に行ったらいじめられるとか加賀美先生が言うから。
「じゃあ、こっち来い」
東条くんに呼ばれて、彼の前に立つ。
あの、その手に持ってるのって……
「これでよし」
腕章ですよねぇ! これっ! 今私のブレザーの腕につけたやつ!
なぁあああ、もうこんなの首輪じゃないですか!
東条くんがつけた腕章には『親衛隊隊長』と黒地に赤い字で書かれていた。
「わぁ、なんか似合うね、雪ちゃん」
伊集院くん、キラキラの笑顔で喜んでるところ悪いんですが、これ、そんなに気分良いもんでもないですよ? 似合ってて、全然嬉しくないです。
「あり、ありがとうございます。伊集院くん」
「んー、灯でいいよ」
「どうもです、灯くん」
灯くんは男の子にしては話しやすいし、助かる。
この腕に引っ付かれなければ、もっと。
「おい、こいつは今日、俺の部屋で寝んだよ。横取りすんな」