天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
まだ3日目なのに襲われました!
朝から大変な目に遭った。
寮を出た瞬間に生徒会メンバーをひと目見ようと生徒たちが押し寄せ、私は守るどころか人混みに流され、気付けば一人で離脱していた。
一人じゃ無理ですって。
というか、絶対彼らのほうが自分で身を守れますって。
そう思いながら、教室に入って東条くんと京極くんと合流する。
「お前、何やってたんだ?」
「そう言ってやるなよ、晩。雪だって、頑張って生きてんだから」
なんか、それ逆に惨めになるんですけど、京極くん。
しかも、あなたが私に優しくするとクラスの子たちからの視線が鋭くなる感じがするんです。妬まれてます、これ、きっと。
それが顕著に表れたのがとある授業の時間だった。
今日はこの学園に入学して初めての授業。
基本的には普通の学校と授業内容は変わらないんだけど、たまに変なのが混ざってる。
悪魔組の場合は魔術の授業。天使組は加護の授業。
これが人間の私にはかなり厄介だ。
先生たちは人間の私たちのことを知ってるから当てない。
でも、それを怪しむ子たちもいる。
いや、一回の授業で、そんな怪しまれないでしょと思うだろうけど、私もそう思ってたけど、一人の人間が密告された。
それが私だ。見た目は男なのに、密告されたのだ。
「授業中に当てられないからと怪しんだやつがお前を密告したらしい」
放課後、加賀美先生に呼び出されて、私は先生の休憩室で説明を受けた。
「まあ、一回はノーカンだし、最初に密告されておいて良かったんじゃないか? そいつが、密告したのに確定されなかったって噂を流してくれることだろう」
加賀美先生のめずらしく真剣な顔。
それが深刻なことなんだって物語っていた。
密告されたのは結構ショックだった。
親衛隊を引き受けてなかったら、私は二日目でこの学園生活が終わっていたわけだ。
誰にも相談出来ないし、真っ直ぐ寮に帰る気持ちにもなれなくて、私は学園内をうろうろと目的もなく歩いていた。