天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
◆ ◆ ◆

 ――で、デジャヴ!? 顔がいい! 魂取られる!

 次の日の朝、目が覚めて、私はまたしても心の中で叫んだ。

 隣で京極くんが眠っていたからだ。
 いや、やっぱり私が彼のベッドで寝たことになってる。

 おかしい。
 だって、昨日も私は京極くんがお風呂に入っている間にソファで寝たはず。
 夢遊病? いや、そんなわけないよね?

 今日こそは女だとバレたのではないかと思う。

 そろりと出れば、なかったことにならないだろうか?

「ん? おはよう、雪」

 無理だった。私が微かに動いたら、京極くんが目覚めて、私にやんちゃな笑顔を向けた。

 寝起きなのに、なんでこんな顔が整っているんでしょうか!
 きっと、私、すごい髪の毛ボサボサの顔ぶっさだと思う。
 いや、これが変装の代わりな感じになってていいんだけど。

「京極くん、俺ソファで寝なかったっでしたっけ?」

 焦りながら、とりあえず聞いてみる。
 彼の反応を見るに、私が女だってことはバレてないみたい。

「言ったじゃん。オレ、寂しがり屋なんだって」

 そう言いながら、何も躊躇わず、京極くんは私を抱き寄せた。
 ぎゅっとされて戸惑う。

 添い寝要員としてソファから移動されたってこと?
 恥ずかしいんですけど!

「なんか、雪をこうすると落ち着くな」
「京極くん、遅刻しますよ?」

 なんなんだろうか、この心臓のバクバクは。
 ぐいぐい推しても全然ビクともしないし。

「雪、オレのこと闇って呼んでよ。呼んでくれなかったら離さない」

 このゆずの香りは私の匂いなのか、彼の匂いなのか。

「じゃあ、闇くん、遅刻するので離してください」

 離してもらわないと本当に困るので、私はさらっと言った。
 すると、

「ほんとお前面白いよな」

 彼は大声で笑い出した。
 何が面白いのか私には分からないけれど、無事、解放されたのでよしとした。
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