天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
◆ ◆ ◆
 
 ――ひぃぃぃぃ! 顔がいい! 目取れちゃうって! いや、魂取られる!

 こんな朝を何度繰り返すのか、今日は隣で西園寺くんが眠っていた。
 キラキラの金色の睫毛がとても長い。
 
 昨日は何があったんだっけ?

 西園寺くんがお風呂から出てきて、私も百合の入浴剤を入れてお風呂に入って……、出てきたら西園寺くんが「一緒に寝よう」って言ってきて。

 でも、悪いからと思って私がソファで寝るって言ったら、自分がソファで寝るって言い張って、西園寺くんが天使過ぎて断れなくて、結局一緒のベッドで寝たんだった。

「どうしたんだい、そんなに僕のこと見つめて」

 薄く開いた碧い瞳が私を見て、くすりと笑う。
 繊細な指先がこちらに伸びてきて、ボサボサで寝癖だらけであろう私の髪に触れた。

 ――ひぃっ、なんか、頭よしよしされてる。

「なんか、すみません、西園寺くん」

 ガバッと起き上がって、西園寺くんの手から逃れる私。

「光でいいよ。君は特別だ」

 爽やかに起き上がって、光くんはニコッと笑った。
 朝から天使の笑みがまぶしい。

「光くん」

 たしかめるように私が彼の名前を口にしたときだった。

「坊ちゃん、朝ご飯できてます」
「ぴゃ!」

 開いたままだった寝室の扉からぬっと中堂さんが顔を出して、私の口から変な鳴き声が出た。
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