天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
 四人の中で一番身長が低いといっても、私よりは背が高い灯くんだ。
 すぽっと腕に収めた私の肩に顎を置いて、まるで他の三人の前で私を人質に取ったみたい。

「お前……!」

 あれ? 東条くん、なんか怒ってます?
 私、また何かしてしまったのかも。
 あー、灯くんを私が取ってしまったみたいになってるから嫌なのか。

「すみ……」

 苦笑いを浮かべて謝りながら灯くんから離れようとしたときだった。

「なんてね。まあ今日はボクの番なんだから、文句は言わせないよ?」

 灯くんは全然私のことを解放してくれなくて、そんなことを言った。
 ボクの番って、もしかして、私、サンドバッグにでもされたりする?

「くっ」

 なんでそんな東条くんも闇くんも光くんも悔しそうな顔してるの?
 え、親衛隊ってサンドバッグになる要員で、それでみんな必要としてる?

「雪ちゃん」
「ひっ」

 耳元で囁かれて、思わず、小さな悲鳴を上げてしまった。

「部屋に行く前に食堂で夕飯食べよ。なんでもごちそうしてあげる」
「俺も行ってやる。何頼んでもいいぞ」
「僕も行くよ、デザートは僕に任せて」
「オレだって、雪に……おやつを用意してやる」

 最後の晩餐でしょうか?
 悪魔と天使な御曹司様たちからの私への餌付けが止まりません。
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