天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
 たしかに先生は別に私の保護者ではないけど、そんなに一緒に居ちゃいけないものなのだろうか?

 悪いことがあるとしたら、それは……

「もしかして、先生は私の魂を奪うつもりですか?」

 生徒がやるように人間だと密告するんじゃなくて、本当に魂を奪う、とか?

 私が言った瞬間、先生は一瞬驚いたような顔をした。

 それから

「いや、違う。俺の心が……」

 と呟いて、なんだか苦しくて悲しいような瞳で私を見つめる。
 さっきまで、あんなにふざけてたのに。

 ――心って……?

「すみません、私、何か悪いこと言ってしまいましたか?」

 さすがの私も気になってしまった。
 私は先生を傷つけるようなことを言ってしまったのだろうか。

 立ち上がって、ぺこっと頭を下げる。

「いや、お前は何も悪くない。……分かったよ。泊めてやるし、俺も泊まってやる。飯もおごってやろう」
「わわっ」

 先生は諦めたように立ち上がって、私の頭をわちゃわちゃと両手で乱した。

 大人の先生は身長が高くて、立つと全然視線が合わない。

 でも、先生はわざわざ私と視線が合うように屈んで

「こんな特別扱いはお前だけだからな? 誰にも言うなよ?」

 仕方ねぇな、という顔で言った。

「はい、ありがとうございます……!」

 加賀美先生、神! 悪魔だけど、神!

 これで今夜は自分の正体をバレる心配をして眠らなくていいんだ。
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