天使と悪魔の学園へ、ようこそ! ~男装地味子の絶対バレてはいけないヒミツ♥~
「君に神の加護を」

 光くんが優しく微笑んで、私の頭に手をかざすとぽわっと光って、心地よくて、身体が少し楽になった。

 風邪なんて、一人で堪えれば大丈夫だと思ってた。
 まさか、こんなに熱が上がって、ツラくなるなんて……。
 ここにはお父さんもお母さんも弟の皐もいない。

 ――あー、ダメだなぁ……、なんで人って熱出ると気持ちまで弱るんだろう……。

「光くん……、ごめ……なさ……」

 なんで泣いちゃうかなぁ、私。

 拭っても拭っても涙は溢れてきて……。

「大丈夫だよ」

 掛け布団の上から光くんが私のことをぎゅっと抱きしめてくれる。
 でも、ダメなんだ。

「風邪……移ります……ひっく、……離してください」

 天使だって、きっと風邪引くんだ。
 悪魔と思われてる私が風邪引いて変に思われてないってことは。
 だから、光くんも。

「ないよ」
「え?」

 静かな声が聞こえて、私はきょとんとしてしまった。

「君は僕のお気に入りだからね、離す気はないよ」

 ニコッと笑った顔が私の隣に横になって、トントンと寝かしつけるように布団を叩く。

「君は一人じゃない。甘えていいんだよ」

 そんなこと友達に言ってもらえたことない。

「ひかるくん……っ」
「よしよし」

 またたくさん涙が溢れてきて、止まらなくなって、でも、私が泣き疲れて眠ってしまうまで、光くんは私のそばに居てくれた。
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