魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
死刑である「紅蓮」の刑、
つまり、火あぶりの刑にあったらどうしようかと思ったけど……。
幸いにも、わたしは一番軽い刑に処されることで済んだ。
それは、「漆黒」の刑。
最新の技術でつくられた、黒い金属の首輪。
その漆黒の首輪で、わたしは声が出せないように制御されている。
「魔女の声は人々をまどわす」っていう言い伝えからきた刑なんだって。
だから、わたしは魔女裁判のあとから、声を出したことがない。
◆◆◆
「~ってワケ。アレは、『魔女の夢』を見て、災いを起こすの」
わたしが思い返していた事件を、五十嵐さんはひととおり大上くんに伝えた。
「小五にして、ふたつの災いを起こした。
それが裁判で認められて、有罪判決。アレは魔女になったのよ」
「……」
大上くんは、目を見開いて沈黙している。
わたしの罪は、クラス中が、
いや、このへんの地域に住んでいる人なら、だれでも知ってることだ。
「うーん、なんていうか、それってさ……」
大上くんが難しい顔をして口を開いた。
何を言われるかが怖くて、耳をふさぎたくなる。
「そのふたつの事件って、ホントに災いなのか?」
……え?
一瞬、大上くんが言った意味がわからなくて、思わず固まる。
みんなも同じように、フリーズした。
そのあと、周りの子たちの顔に浮かんだのは、
とまどいと……少しの恐れの表情。