魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
3.信頼
昼休み。昼食の時間だ。
基本的にウチの学校は、校内ならどこでお弁当を食べてもいい。
生徒たちは中庭や、空き教室、屋上をつかったりしている。
わたしはお弁当をもって、図書準備室へと向かっていた。
本や段ボールがたくさんつまれている、ほこりっぽい部屋。
そこは鍵がいつも開いていて、とある子を除いて、だれも来ることはない。
とびらを開けると、その子はもう来ていた。
同じクラスの、梨田(なしだ)ユキさん。
机には、梨田さんのお弁当が広げられている。
わたしは梨田さんのちょうど反対側の席に座って、自分のお弁当を広げた。
一緒にお弁当を食べているワケじゃない。
ただ、たまたま昼休みにいる居場所がかぶっただけ。
だから、会話も何もない。
もっとも、わたしは首輪のせいでしゃべれないんだけど。
梨田さんは、どうやらクラスの女子たちになじめてないみたいなんだよね。
とくに、教室の女王サマ
……五十嵐さんがそういう風にしようって決めたみたいで、
女子たちからハブられてるんだ。
クラス替えがあったばかりのころは、いろんな悪口をクスクス笑いながら女子たちが言ってたっけ。
だっさい三つ編み、とか。マジメすぎてキモイ、とか。声小さすぎ、とか。
春の進級チェックテストで、梨田さんが学年一位をとったのも気に入らなかったみたい。