魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
そういうのを魔女監視教育の課題として出された時は読んで、
感想文を書かかなきゃダメなんだよね。
でも、基本、本屋さんに売ってる本だったら自由に読めるよ。
……って、長いな!
ここまで考えて、これをノートに書くのはものすごく面倒なことに気づいた。
でも、リヒトくんを無視するっていうのは、心苦しい。
わたしはノートにペンを走らせた。
【基本、自由】
まあ、カンタンに言うとこうだし、ウソは言ってない。
「へー、自由なんだ。どれ」
わたしの肩ごしにひょいっと本をのぞきこむリヒトくん。
その距離の近さにドキッとして、かたまってしまう。
ふわんと香る、いい匂い。
「お、これ、ファッション★ミッションだろ?」
あ、ちょうど挿絵のページだったから、何読んでるかバレちゃったか。
「これ、超おもしれーよな!」
って、ちちち、近い!
光り輝くような、キラキラしたほほ笑みが、近すぎて心臓がもたないよ!
思わず、本を閉じて、さっと体の向きをずらす。
そこで、気づいた。
教室内でささやく声。
「え? 魔女もファショミショ、読むの?」、
「めっちゃ軽い本じゃん」、
「なんか秘密裏に手に入れた、闇本かと思ってた……」、
などなど……。
ううう、だからどんな本を読んでるか、知られたくなかったのに!
「魔女が読んでる本って、わたしたちが読んで大丈夫なのかな?」
だれかがぽつりと言った。