魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう

 ……ほらね。こういう声が出てくる。



「えっ、ファショミショ禁止⁉」

「おいおい、マジで?」

「それはイヤ~!」



 騒ぎ出すクラスのみんな。

 それを、パンパンと手をたたいて静かにさせたのは、リヒトくんだ。



「じゃ、今回はコレについて話し合ってみようか。
魔女の読んでいる本は、
なんでもかんでもおそろしくて、禁止なのか?
おれの反省文……いや、魔女考察レポートに書かせてもらうよ」



 リヒトくんはクラスの視線を一身に受けても、まったくひるまない。



「ハイ、マリカ! キミはどう思う?」



 五十嵐さんはリヒトくんに名指しされて、うげーっとした表情になった。



「そんなの……。魔女が読んでるってだけでキモチワルイしぃ。
マリカは同じ本を読むのイヤになったわ」



 その意見に、五十嵐さん中心のグループの子たちは、うんうんとうなずく。

 五十嵐さんがじろりと周りを見回すと、
「禁止はイヤ」と言っていた、いくつかの他の女子グループたちもおとなしくなる。

 男子たちも、似たようなものだ。



「じゃ、サトシは?」

「えっ……、おれに聞くか~!」



 男子のリーダー的存在の佐野くんにも意見を聞くようだ。

 佐野くんは、う~と、頭をかき、「いいんじゃね? 禁止にしなくても」と言った。

 おお~とどよめきがおこる。



「なんでだ?」

「えええ……」



 ぐいぐいと深く切りこんでいくリヒトくんに、またも佐野くんがうめく。
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