魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
5.監視士からの知らせ

 リヒトくんが「魔女考察」をするたびに、
 クラスのみんながちょっとずつ変わっていくのがわかった。

 なんていうか……、みんな、「考える」ようになったんだと思う。

 そもそも、魔女がどうして忌み嫌われるようになったのか。

 歴史を習っても、肝心なところが出てこないのだ。

 わたしたちは、ううん、きっと、おとなたちさえも知らないだろう。

 リヒトくんのことがなければ、疑問に思うこともなかったと思う。

 それが、いいことなのか、悪いことなのか……。

 まだ、わたしの中でこたえは出ていない。

 ただ、先生……、
 とくに、担任の田村先生は、
 この教室に流れる空気の変化に気づいたみたい。

 リヒトくんは、
 たったさっき、職員室へ呼ばれていったところだ。

 わたしは図書準備室でユキちゃんとごはんを食べつつ、
 視線で「心配だね」と会話してた。

 その時だった。



「二年A組の、鳥居カナ。
繰り返します。
二年A組の、鳥居カナ。
教務室の田村先生のとこまで来てください」



 スピーカーから放送が流れてきた。

 ……、なんだろう。何か、嫌な予感がする。

 わたしは急いでおにぎりを食べきると、
 ユキちゃんに手を振って部屋を後にした。

 教務室の田村先生のところでは、
 リヒトくんが何か言われているようだった。

 あれ? 
 あそこにいる銀ぶち眼鏡が似合っている、めちゃくちゃ美人な女性は……。
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