魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
わたしの監視士の、火野(ひの)さんだ。
涼やかな表情で、田村先生の席の近くに立っている。
監視士っていうのは、保護者の代わりに、
わたしが『魔女』の災いを起こさないように、見張る人のこと。
……そう、わたしは魔女になってから、
家族に、両親に会っていない。
ずっと、監視士が保護者の代わり。
前の監視士さんと交代して、火野さんは一年前からわたしについている。
その火野さんが来てるってことは……、何か、あったのかな?
「まったく、
コイツは本当に魔女に対して近づきすぎるというか……。
おそれを知らない。火野さん、なんとかなりませんか?」
いらいらとリヒトくんを指さし、田村先生が火野さんに話しかける。
「そうですね……。
話を聞くに、そちらの彼は宇土島から来たのでしたね。
そこでの魔女監視教育が行き届いていなかったのは、
われわれ魔女監視庁の責任です。申し訳ありません」
落ち着いた声で話、頭を下げる火野さん。
「あ、いやいや。
火野さんや、その上の方々を責めているわけではなく……。
こちらこそ、かえって申し訳ない」
田村先生はあわてて謝った。
担任の先生と、魔女の監視士にはさまれてたら、
普通はガチガチに緊張するだろうに、
リヒトくんはわたしを見つけると手を振った。
「カナ~! なんか、この美人なおねーさんが、用事だって」