魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
7.きらめく思い出
ひとり部屋の病室に通されると、
お母さんはベッドの上で目を閉じていた。
火野さんに向かって看護師さんが、
「あと少しで目覚めると思いますよ」と言って去って行った。
お母さん……。
三年ぶりに見るけれど、かなりやせたみたいだ。
過労で倒れるなんて、生活がたいへんなのかな。
だって、お母さんは……、
お父さんと、離婚しちゃったから。
わたしのせいで。
わたしが、魔女だって判決を受けてすぐに、
ふたりは別々になってしまった。
これは、前の監視士さんから聞いたことだ。
その時の言葉がよみがえる。
「まあ、珍しいことじゃないわね。
あなたのお父さんは、魔女を、つまりはあなたを産んでしまった人と、
一緒にいるのがたえられなかったんでしょう。
あなたは、そういう存在なの」
あらためて事実をつきつけられて、呆然としたことを覚えている。
心を鋭いナイフで、何度も何度も切りつけられた感覚。
悲しくて、悲しくて……。苦しくて、自分が許せなくて。
でも、だれよりもひどい目にあったのは、きっとお母さんだ。
だって、魔女(わたし)なんかを産んでしまったから。
ごめんなさい、お母さん……。
「カナ、疲れてないか?」
リヒトくんの声に、はっとする。