魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
間奏



◆◆◆



 わたしは、金色の光の中をふわふわと浮かんでいた。

 美しくて、温かな光。

 ああ、なんて心地いいんだろう。

 光の粒がだんだんとかたちをなしていき、一匹のオオカミになる。

 当然のように、わたしはその背にもたれかかった。

 このまま、ずっとこうしていられたらな。

 きゅうん、くぅん、と甘い声で、オオカミが鳴く。

 オオカミはわたしの頬をぺろ、となめた。



 ふふふ、くすぐったい。



 わたしはオオカミのあご下を優しくなでた。

 ぐるるっと満足気にオオカミがのどを鳴らす。

 まるで、猫みたいだ。



「カナ、おれたちは、友だちだ」



 うん、ありがとう。

 オオカミの声は……、リヒトくんのもの。

 やっぱり、この夢の中のオオカミは、リヒトくんをあらわしていたんだ。



「友だち、だ。友、だ、ともともともだちちだちだち、ぐるるるるっ」



 ……?

 オオカミが、苦しそうにうなる。

 その時、びゅううっと風が吹くとともに、雪が舞い散った。

 猛烈な吹雪にふきつけられ、息が苦しい。

 そう、息が、苦しいんだ。



「ぐるるるっ。とも、ダチ。ともだ、ち」



 オオカミはわたしを吹雪からかばいながら、苦しそうにしている。

 どうしよう、わたしに、何ができる?

 ああ、苦しい、苦しい!

 だんだんと意識が遠のいていく中、最後に聞こえたのは……。



「とも、だち、ゴッコは、楽しかったかい? あはハはハハハッ!」



 ……え?

 今の声、は……。

 リヒトくん?



◆◆◆



< 45 / 100 >

この作品をシェア

pagetop