魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
9.真実

 ハッと目が覚めた。

 ぜいぜいと息が荒い。

 息苦しさに思わず首元をさわると……。

 あの金属の感覚が、ない。

 え?

 どうして、首輪がはずれてるの?

 それに、ここはいったい……。

 わたしは、ベッドから体を起こし、
 きょろきょろと辺りを見回した。

 すると、カーテンがシャッとひらく。



「気づきましたか?」



 入ってきたのは火野さんだった。



「あなたはシズカさんの病室で、倒れたんです。
過呼吸でね。
覚えていますか?」



 そういえば……。

 わたしは、こくりとうなずいた。

 お母さんの病室でのことは、あまり思い出さないようにしよう。

 じゃないと、また苦しくなりそうだ。



「緊急事態につき、首輪はわたしの方ではずさせていただきました」



 火野さんはカードキーと、わたしについていた首輪を見せてくれた。



「医師の診察を受けたのち、
異常なしと診断されたら、
すみやかに首輪をつけていただきます」



 「では、医師を呼んできますので」
 と言い残して火野さんは去って行った。

 わたしはベッドの上でひざを抱えて、丸くなった。

 いろいろなことが頭の中をめぐる。

 お母さん……。

 やっぱり、わたしのこと、恨んでた。

 当然だよね。魔女のせいで、人生めちゃくちゃになったんだもん。



 『大嫌いよ。あんたなんて、産まなければよかった』



 お母さんの言葉が何度も何度も頭の中で繰り返される。
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