魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう

 実の母親にすら、忌み嫌われるのが魔女。

 そう、「教育」されて、きっとわたしに幻滅したに違いない。

 ぐるぐると考えていると、お医者さんと火野さんが来てしまった。

 ちょっとした診察を受けて、異常はなし。

 わたしは火野さんの手によって再び首輪をつけられることになった。

 かちり、と音がしてロックされたのがわかる。



 ……罪と、罰の証。



 わたしがいたところは、小さな処置室だったみたいだ。

 部屋を出て驚く。

 廊下にある待ち合いのイスに、リヒトくんが座っていた。

 どうしよう。

 怖い。

 夢を思い出す。

 今まで友だちだと言ってくれた。

 でも、それがウソだったら?

 全部が、友だちゴッコだとしたら?

 リヒトくんは口を開き……。



「大丈夫か? 
いきなり倒れて、ホント心配したんだからな」



 優しい、言葉をかけてくれた。

 でも、わたしは素直に喜べなかった。

 これが、演技だとしたら?

 わたしは、だまされてるの?



「……あなたには、先に帰るように言ったはずですが?」

「ああ、このタクシー代、返す。
なんか、もらうのイヤだし」



 リヒトくんは、火野さんに向かって、ずいっとお金を突き出した。

 ぴくりと火野さんの眉が動く。



「……、あなたは、『教育』を受けて、
何も感じなかったのですか?」



「ま~、いろいろと考えたけどさ。
……あ、カナ、見てみ。
さっき、中庭で珍しい蝶々撮ったんだ」


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