魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
11.友だちだから

 ……難しい。

 リヒトくんが、わたしに近づかないように。

 かかわらないようにすればいいって考えてたけど……。

 リヒトくん、クラスの子としゃべってたと思えば、
 いきなりわたしに話がとんできたりするもんなあ。



「昨日、あんぱんとスマホ両手に持って、
スマホだけベッドに投げようと思ったら、
あんぱんの方投ちゃってさ~。
食いかけだったから、あんがシーツにこぼれおちたんだよ」

「あははは! リヒト、やべー!」

「間違ったの、ウケる!」



 楽しそうに佐野くんや五十嵐さんと会話してるのが聞こえる。

 うーん、あんぱんじゃなくて、
 カップラーメンだったらもっと悲惨な目にあってただろうな。

 思わず、口元に笑みが浮かぶ。



「なんだよ~。
みんなこういう経験あるだろ?
あおむけでスマホいじってて、顔の上にスマホ落としたり」

「あ~、それはあるかも」



 うんうん。わたしもシンガールのアプリ操作してて、
 やっちゃったことあるなー。

 地味に痛いんだよね。



「そういや、スマホ指って知ってる?」



 リヒトくんがふとたずねた。

 わたし含め、知っている人はいないみたいだ。



「スマホ使いすぎると、指が変形したり、
痛みが出たりするんだって。
ちょっとチェックしてみよう」



 リヒトくんはすっと両手を机の上に出した。
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