魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
「こうやって、指をそろえて……、
この時、力は入れないで、軽くな。
で、まっすぐ指をのばしてみて」
リヒトくんの話を聞いてた子たちは、みんなやってみている。
「それで、薬指と小指の間に、
スキマができてたら、それはスマホ指なんだって」
「あ、おれ、スキマできた」
「やだー、わたし、かなりスキマあるんだけど!
小指が外側に曲がってるってこと?」
おお、盛り上がってるなあ。
確かに、五十嵐さんの右手、
薬指と小指の間に大きなスキマができている。
ちらちら見てたら、リヒトくんと目が合ってしまった。
まずい。
「カナはどう~? スマホ指?」
リヒトくんがこちらに向かってきた。
あああ、見なければよかった!
五十嵐さんが面白くなさそうな顔をしている。
「盗み聞きとか、キモ」
ぼそっとつぶやきが聞こえた。
うん、そうだよね……。わたしも、そう思う。
「なんだよ、マリカ。
いーじゃん、こういうのは、みんなで楽しまなきゃ」
リヒトくんはそう反論すると、
「カナ、手出してみてよ」なんて言ってくる。
えーと、えーと。
どうしよ……。
わたしは勢いよく席を立ち、廊下へ向かってダッシュした。
とりあえず、女子トイレにこもろう!
個室に入り、鍵をしめてほっとする。
さて、どうしようか……。
毎日、こうしてるワケにもいかないよね。