魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう



「こうやって、指をそろえて……、
この時、力は入れないで、軽くな。
で、まっすぐ指をのばしてみて」



 リヒトくんの話を聞いてた子たちは、みんなやってみている。



「それで、薬指と小指の間に、
 スキマができてたら、それはスマホ指なんだって」

「あ、おれ、スキマできた」

「やだー、わたし、かなりスキマあるんだけど! 
小指が外側に曲がってるってこと?」



 おお、盛り上がってるなあ。

 確かに、五十嵐さんの右手、
 薬指と小指の間に大きなスキマができている。

 ちらちら見てたら、リヒトくんと目が合ってしまった。

 まずい。



「カナはどう~? スマホ指?」



 リヒトくんがこちらに向かってきた。

 あああ、見なければよかった!

 五十嵐さんが面白くなさそうな顔をしている。



「盗み聞きとか、キモ」



 ぼそっとつぶやきが聞こえた。

 うん、そうだよね……。わたしも、そう思う。



「なんだよ、マリカ。
いーじゃん、こういうのは、みんなで楽しまなきゃ」



 リヒトくんはそう反論すると、
 「カナ、手出してみてよ」なんて言ってくる。

 えーと、えーと。

 どうしよ……。

 わたしは勢いよく席を立ち、廊下へ向かってダッシュした。

 とりあえず、女子トイレにこもろう!

 個室に入り、鍵をしめてほっとする。

 さて、どうしようか……。

 毎日、こうしてるワケにもいかないよね。
< 57 / 100 >

この作品をシェア

pagetop