魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
12.ひと夏の思い出に
お昼休み。
わたしは、いつものように図書準備室で
ユキちゃんとご飯を食べようとしていた。
そこに、ノックの音。
「入るぞ~」
……この声、リヒトくん?
ガラッと扉を開けたのは、やっぱりリヒトくんだった。
リヒトくんはわたしの隣の席に座り、
斜め向かいにいるユキちゃんに話しかけた。
「よ! ユキ。今日のおかず何?」
「……ミニハンバーグと、野菜のグラッセですけど」
「いいな~! うまそう。おれはこれ」
リヒトくんが袋から取り出したのは、
コンビニで売っている、でっかいコロッケパン。
あと、メロンパンと牛乳。
「おれもここで食っていい?」
こちらの返事を待たず、リヒトくんはビリッと袋の封を破った。
ユキちゃんは困ったように視線をわたしに向ける。
わたしはうなずいた。
「どうぞ」
「はりはとー(ありがとー)」
ユキちゃんが言う前に、リヒトくんはもうパンにかぶりつき、
もぐもぐと口を動かしていた。
あきれたようなユキちゃんの視線に、
わたしはふふっと笑った。
ごくん、と飲み込んだ後、
「そうそう、ふたりに見せたいのがあったんだ」
とリヒトくんはパンをもっていない方の手でスマホを操作する。
「じゃん!」
リヒトくんが見せてくれたのは……、
「愛の歌コンクール」⁉
コンクールの公式ホームページだ。
リヒトくんはスマホをわたしとユキちゃんと交互に見せた。