魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
文芸部のユキちゃんなら、詩とかもうまく作れそうだ。
「……そんな、いきなり言われても。それに……」
ちら、とユキちゃんがわたしを見る。
そうだよね、魔女がコンクールに参加するなんて。
やっぱり、無理だよ。
だって、わたし、佐野くんにもくぎを刺されてるもん。
リヒトくんを利用するなってね。
わたしは目の前に指でバツ印をつくった。
「ええ~。ダメか? 一度しかない、中学二年の夏の青春だぞ?」
……リヒトくんの応募動機は、思い出作りか。
賞金目当てのわたし、なんだかがめついな。
思わず苦笑する。
「そういうことではなくて……。
そもそも、なぜわたしたちなんですか?」
ユキちゃんは困り切っていた。
「うーん……。なんていうか、見返してやりたい、みたいな」
「……どういうことです?」
わたしも首をかしげる。
はて? 思い出作りじゃないのかな?
「まずは、カナ。
魔女ってだけで、おそれられてて、
シンガールの超技術とか、曲づくりが認められないのが、
シャクにさわる」
「それは……、しかたがない、ですよ」
遠慮がちに言いながら、こちらを見るユキちゃん。
わたしは大きくうなずく。
だって、事実だし。
「あとは、ユキ」
「……わたし、ですか?」
「そうだ。オマエ、女子からハブられてるだろ?」
わたしは思わずリヒトくんの背をバシッとたたいた。
デリカシーってのがない!