魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
2.魔女の罪
最悪だ。
あの後、必死に走って、走って。
どうにか自分の教室、二年A組にたどりついた。
静かに自分の席について、ほっと息をつく。
あとは、あの男の子のことは忘れればよかった。
それなのに……。
運命はどうやっても、わたしを逃がしてくれないらしい。
授業の前の朝のホームルーム。
そこにいたのは……。
「宇土島(うどがしま)から来た、
大上利人(おおかみりひと)です。
趣味はバスケ。っていうか、スポーツ全般好きだな。
あ、リヒトって気軽に呼んでくれ~。
よろしく!」
拍手が沸き起こる。
そう、あの男の子……、大上くんは、なんと転校生。
しかも、ウチのクラスに転校してきたのだ。
「宇土島って、外国と貿易してる港や空港があるとこだよね?」
「すご。あんなとこから来たんだな」
「めっちゃイケメン!」
あちこちで声が上がる。
宇土島か……。
わたしたちの国、大和国(やまとこく)は島国だ。
鎖国をして、外国とのかかわりを断っている。
その例外が、宇土島。
本島よりちょこんっと離れた位置にあるそれは、大陸にある外国との貿易を唯一許された島だ。
なんでも、島には外国人も住んでるんだとか……。
それでも、島民と外国人との接触は、政府によって厳しく制限されてるって聞いたな。