魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう



 リヒトくんがねぎらいの言葉をかけてくれる。

 実はふたりには言ってないんだけど……。

 わたし、詩をつけながら曲をつくってたんだよね。

 それは、愛の歌。

 リヒトくんが、
 「『一般人』とか『魔女』とかじゃないだろ! 
 みんな、『ただの人間』なんだ」
 って言った時。

 びっくりしたよ。

 そんな、政府に逆らうようなこと言っちゃダメでしょ!
 って。

 でもね……。

 同時に、その考えにすごくひかれたんだ。

 そういう考えっていうか……、
 信念をもってるリヒトくん自身を、あらためて好きになった。

 大好きになったんだ。

 リヒトくんのおかげで、
 愛の歌を書けるようになったんだよ。

 だから、コッソリと自分で詩を考えて、
 シンガールのミミに歌ってもらった。

 この国で「魔女」制度がある限り難しいかもしれないけど……。
 
 みんなが、好きな人とずっと一緒にいられますように。

 そんな願いを込めた歌。

 まあ、これは完全にわたしの自己満足だから、
 ふたりにはナイショ。

 ユキちゃんに、しっかり詩をつくってもらおう!



「カナ、おれの夢、聞いてくれる?」



 唐突にリヒトくんがそんなことを言った。

 わたしは首をかしげる。



「おれ、魔女制度をなくしたい」



 ぎょっとした。

 あわてて、ユキちゃんを見る。

 ユキちゃんは目をつぶり、真剣に曲を聴いていた。
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