魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
14.衝撃
リヒトくんの夢を聞いた、一週間後。
コンクールの応募締切当日の朝。
リヒトくんの甘い声が、スマホから流れている。
切ない恋心。
好きな人に、振り向いてもらえない切なさ。
それでも、あきらめない気持ち。
うう、泣ける詩だ。応援したくなる。
曲が終わった。
「うお~! できた~!」
「最終チェック、異常ないですね。お疲れ様です!」
リヒトくんは叫び、
ユキちゃんはうれしそうにそれをねぎらった。
わたしは、ひたすら拍手する。
「よし、あとは応募だけだな」
スマホを手に持ち、すいすいと操作するリヒトくん。
「代表者はおれでいいよな。
必要事項、記入……。
ファイルを選んで……、よし、応募するぞ」
リヒトくんはわたしたちにスマホを向けた。
応募ボタンがピコピコと光っている。
ごくっとつばを飲み込み、
わたしとユキちゃんはうなずいた。
リヒトくんは、ぽちっと応募ボタンを押した。
ひゅんっと画面が切り替わり、
「応募ありがとうございました!」と表示される。
「終わった~!」
わたしたちは三人で輪になり、抱き合った。
「カナ、ユキ、ふたりとも、最高の作品をありがとう!」
「ううん! リヒトくんこそ、歌唱お疲れ様でした! ね、カナさん」
わたしは笑顔でこくんっとうなずいた。
「あ、やべ。ホームルーム始まる」
「わ、急がなきゃですね」
三人で教室へ向かう。