魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
大和国では、外国人の情報をインターネット上にアップロード、
SNSで拡散したら、最悪逮捕されてしまう。
だけど、外国人は魔女と同じくらい、おそろしい存在だっていうウワサは広まっている。
外国人って、どんな感じなんだろ……。
「リヒト、外国人見たことあるか?」
ちょっとやんちゃ系の男子が質問して、教室の空気がピリッとする。
「こら、そんなこと聞いちゃいかん!」
「あるよ」
担任の田村先生の言葉をさえぎって、さらっと答えるリヒト。
うおお、と教室が盛り上がる。
「マジ?」
「すご!」
「どんな風なの? バケモノとか、魔女みたいってウワサはあるけど」
そんなみんなを見回しつつ、大上くんは「ん~」と、考えてから口を開いた。
「なんていうか、おんなじ人間だし、おれらと変わらな……」
「大上! 口を慎(つつし)め!」
田村先生が、どなった。
大人の男の人の怒声は迫力があり、一気に教室が静かになる。
「それ以上言うなら、警察に通報するぞ」
本気の田村先生の声色に、大上くんは青ざめることもなく、ニコッと笑った。
「いや~、冗談ですって。
ただ、外国人には、あそこにいる魔女の子と同じ印象を受けたってだけですよ」
その言葉で、教室の視線が一気にわたしに集まる。
おそれと、さげすみが混じった目。
わたしは下を向いた。
……なんだ、大上くんも、みんなと同じだったんだ。