魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
15.メッセージの導きで

 あれからしばらく経った。

 しばらくって、どのくらいだろう。

 二週間? 三週間?

 それとも、一ヶ月?



 ……感覚がマヒしてわからない。



 ユキちゃんは、
「特別職員だとバレたからには、
もうこの学校にはいられないわね」と、
さっさと転校していった。

 ユキちゃんをハブっていた五十嵐さんたちは、
 しばらくびくびくしてたけれど、何もなかったようだった。



 ……どうでもいい。



 リヒトくんは、
 クラスのやんちゃっぽい男子とつるむようになった。

 魔女相手に特別職員とあんなことをやるなんて! 
 と男子たちははしゃいでいた、



 ……どうでもいい。



 世界の色が消えた。

 二か月前と同じだ。



 ……これでいい。



 リヒトくんがきらきらと照らしてくれた世界。

 それは、ニセモノの光だった。

 お母さんとのやりとりも、
 今となっては本当なのかわからない。

 だって、わたしを裏切ったリヒトくんが仕掛けていたことだから。

 わたしはいつものように、図書準備室で昼食を食べる。

 ……味がしない。

 砂をかんでいるみたいだ。

 でも、流し込まなきゃ。

 お腹減るし。食べなきゃ生きていけないし。

 ……生きて、いけない?

 わたし……。生きている必要、ある?

 日常に小さな幸せを見つけて、生きてきた。

 それを、歌にするのが好きだった。

 でも今は……、そんな気力さえない。
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