魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
◆◆◆
ここ、だよね?
わたしがおとずれたのは、小さな裏路地だった。
火野さんからの指定場所。
メッセージにはこうあった。
「真実を話します。ここへ来てください」
ふらふらと路地を歩く。
雑貨屋さんとかあるけど、普通の家も多い。
この喫茶店は、クローズドってなってるな……。
とまどっていたら、とびらがあいた。
あ、火野さん。
火野さんの手招きに従い、とびらの内側に入る。
中はおしゃれでキレイなテーブルが並んでいた。
それを通り過ぎて……奥にある、とびらへ。
まだ先があるのかな。
そう思ったら、あらわれたのは地下へと向かう階段だった。
何?
まるで、秘密基地みたい。
階段を降りると、広い部屋があった。
小さなテーブルと、四脚のイスだけがある。
そのイスに座っていたのは……。
リヒト、くん?
「カナ!」
リヒトくんは、顔をくしゃくしゃにして、
泣きそうな表情をしていた。
「ごめん、おれが、ヘマしたせいで……、
カナを……、大事なカナを、裏切った」
あ然として、頭が真っ白になる。
なんなの? ヘマ? どういうこと?
謝ってる。どうして?
泣きそうな顔で。「大事なカナ」?
頭がぐるぐるしたけれど、思いついたことはシンプルだった。
……、逃げよう!
もう、リヒトくんにこれ以上傷つけられるのはイヤだ!
わたしは一歩あとずさり、来た道をダッシュで帰ろうとした。