魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
16.ヒミツ 【Side:リヒト】
席についてくれて、ありがとう。
まずは、ごめん。カナ。
たくさん、悲しませて。苦しませて。
……つらい、思いをさせて。
準備にてこずって、ここで話をするまでに一ヶ月もかかっちまったな。
長い話になるけど、聞いてほしい。
おれと、火野がスパイだってこと、驚いたろ?
……そうだよな、うん。
外国人だってことも、びっくりしただろ?
でもな、おれたちも大和国の人も、そうかわりないんだぜ?
……ああ、ごめん、話を続けよう。
おれたちは、大和国の魔女の実態を調べに来たんだ。
おれは転校した学生として、五月の半ばから。
火野は、先に行って、一年半前から魔女監視庁の職員としてな。
魔女のことはウワサで知ったつもりではいたけど……。
ひどいものだったよ。
想像以上だった。
こんなに人権を無視された扱いをされてるなんて。
ん? ああ、大丈夫。
ここでは、火野のつけてる大和政府の盗聴器は働かない。
そういう場所なんだ、ここは。
話を続けるな。
おれは、魔女の立場をなるべく一般人と近づけるように努めた。
……やっぱり、この言葉、嫌だな。
「魔女」と「一般人」。
このふたつに、違いはない。みんな「ただの人間」なんだ。
その言葉に、おれの気持ちに、ウソはない。
……信じられない、か。
うん。カナの言うことはもっともだ。