魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
でもな、カナの母さんのことは、信じてやってくれないか?
あの時、火野の盗聴器があったから、
カナの母さんは本当のことをしゃべれなかった。
だから、おれは考えて、
スマホをつかってカナの母さんの本心を伝えたんだ。
ああ、そんなに唇をかみしめちゃ、ダメだ。
うん、うん、泣きたくなるのは、当然だよな。
おれが、裏切ったから……。
……この裏切りについても、話をしていい?
こちらがつかんでいた情報では、
魔女監視庁の特別職員は確認されてなかったんだ。
完全に、油断していた。
まさか、おれと同じく学生の身分で特別職員がいるなんてな。
そのことを考えていなかった、おれのミスだ。
おれは、ユキは完全にカナの、おれたちの仲間だと思っていた。
だが、スパイのカンというか……。
ユキが、言ったことがあっただろ?
『その本音は政府に反する言語道断のものでしたけど!
これは、わたしがちゃんと監視してないと、ダメですね』
って。
その、「わたしが監視してないと」ってワードが
妙にひっかかってな。
翌日、ユキがおれに近づいてきた時に、
アイツが特別職員じゃないかって想定して……。
「魔女に立場をわからせるために、お芝居を仕掛けてる」
って言ったんだ。
ああ、ごめん……。
ごめんな、カナ。