魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
17.11日間
 リヒトくんの、長い、長い独白(どくはく)が終わった。

 リヒトくんと、火野さんがスパイ。

 ふたりは外国人。

 ふたりの目的は、この国の開国と、魔女制度の廃止。

 その目的を果たすために、リヒトくんはわたしを裏切った。

 ……情報量が多すぎて、頭がくらくらする。 

 外国人は、バケモノみたいって聞いてたけど……。

 それは、ウソだったんだって、ぼんやりと思った。 



「魔女じゃなくて、カナ。
カナのために、なんとかこの国の魔女制度をなくしたい。
そう、思うようになった。
おれの果たしたい目的は……、
カナのおかげで、血の通った、信念になったんだ。
だから、キミを裏切ってでも、スパイとしてつかまるワケにはいかなかった」



リヒトくんは、そう言っていたけれど……。



【話はわかりました。
それでも、リヒトくんがわたしを裏切ったことに、
変わりはありません。
わたしは、リヒトくんを……、もう、信じられない】



 ノートに殴り書き、リヒトくんに見せる。

 リヒトくんは悲しい顔をして、「わかった」と、うなずいた。

 胸が、ズキズキと痛む。

 泣いてしまったから、目元も熱くて痛い。



【お話はこれだけですか? では、失礼します】



 今度は火野さんにノートをつきつけた。



「カナ。ちょっと待った。わたしからも話がある。リヒト抜きでな」



 話?

 わたしはもう、聞かなくてもいい。
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