魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
18.決断
 わたしが十一日間を、どう過ごしたのか。

 普通に学校へ行き、普通に終業式を終え、普通に夏休みに入った。

 リヒトくんとは……、何も、交流がなかった。

 学校にいる時、
 リヒトくんはたまに何か言いたそうにしていた。

 けれど、わたしは顔をそむけて無視していた。

 そして、とうとう、今日が期日の七月三十一日。

 地区予選コンサートの日だ。

 会場は予約制の超満員ってことで、
 会場のホールを包むようにある公園で、パブリックビューイングが開かれている。

 大きなモニターがいくつも置かれ、そこから地区予選の様子を見られるのだ。

 わたしは、その公園の木の下に立って、いまだ考えていた。

 リヒトくんを、警察に突き出すかどうかを。

 ひどいことをされたと思う。

 あの「お芝居」の舞台での仕打ちは、思い出すたびに心の傷をえぐられる。



「友だちゴッコは楽しかったかい?」



 リヒトくんの笑みと言葉が、耳から離れない。

 ずきん、ずきんと心が痛む。

 その一方で、
 通報されるかもと知りながら、
 自身がスパイであると明かしてくれた誠実さも、わたしは知っている。

 開国と、魔女制度の廃止……、かあ。

 夢みたいな話だ。

 でも、大和国政府からしたら、他の国の情報はお宝だろう。

 もしかしたら、魔女の罰を……、許してくれるかもしれない。

 どくん、と心臓が脈打った。

 許して、もらえる?
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