魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう
「でも、わたしは……、
彼を、リヒトくんを助けることを決めました。
だってわたしは。リヒトくんが、大好きだから!」
ああ、うれしい。
ありがとうな、カナ。
おれを、助けてくれて、ありがとう。
あんなにひどいことをしたのに、
おれを好きでいてくれて……、本当に、ありがとう。
涙が、ぼろぼろとこぼれる。
それをぐいっとぬぐって、おれは言った。
「歌おうよ、歌鳴(カナ)」
カナの目が、見開かれる。
だから、ゆっくり、もう一度。
「歌おう、カナ」
カナが首元に手をやる。
そこに、『漆黒』の、魔女の罰の証の首輪はない。
だから、安心させるようにうながす。
「大丈夫。
さあ、一緒に……、愛を、歌おう」
おれは、フレイムに教えてもらった旋律を口ずさんだ。
カナが、おれのためにつくってくれた曲と歌詞。
カナはハッとした顔になって、……花が咲くように笑ったんだ。
おれたちの歌声は、会場に響きわたった。
それは、夢のような、キセキのような時間だった。