青空の下で君を待つ

願いの種

4.願いの種
漣と出逢ってから2週間がたった。
あれから、漣には会っていない。
漣は今どこにいるんだろう?
入院はしたのかな?
色々疑問が込み上げてきたのでまたあそこに行った。
ドアを開けた瞬間、漣が空を眺めていた。
「漣、、、。」
漣は私が呼んだのに気づいたのか振り返って
「姫衣?どうしたの?」と優しい声で私に近づいてきた。
私は思わず、
「漣。入院しちゃったの?」
と言ってから無神経に聞いてしまったことに気づき顔をを逸らした。
それを聞いた漣は私の顔を軽く上げ、「うん。そうだよ。」と優しく言った。
私はほっとし、漣にこう言った。
「いつから入院してたの?」
「姫衣と逢った次の日からだよ。姫衣に逢えると思って毎日ここに来てたんだ。やっと今日会えたよ。」と漣は私に微笑んだ。
私は漣の言葉を聞いた時、驚いた。
私のためだけに毎日ここに?なんで?まだ、まともに話したことないのに、、。
聞きたいことはたくさんあったが漣は続けてこう言った。
「姫衣はいつも1人なの?」
その瞬間今まで忘れていた寂しさを思い出し涙をぐっと堪えた。もし、漣がいなければきっと泣いていただろう。
「うん。1人だよ。」
私の声は随分震えていた。
漣は私の頭を撫で、
「なら、毎日ここにおいで。」と優しく微笑んだ。
「うん。」と答え笑った。
きっと、上手く笑えていなかっただろう。
病室に帰りベッドに座った。
漣には伝わらないで欲しい。
この時から全ての歯車が回り出したんだ。漣も私も同じぐらい悲しい思いをしてきた。
どうか、この願いだけは忘れたくない。お兄ちゃんが最後に残してくれたぬいぐるみを抱きしめ強くそう願った。
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