天使とピュアな悪魔の君と。
だからなのかな。
どんなに乱暴なことを言われても、その言葉の奥には「料理が美味い」だったり、「お腹は空かないけどそれでも食べたい」だったりと、そんな意味が隠れているから憎むにも憎みきれない。
むしろ、料理を作ってあげたくなっちゃうくらい。
世界にはこんな料理があるんだよって。美味しいでしょ、って。
何も知らない彼に、たくさんの幸せを教えてあげたい……なんて、悪魔の彼にそんなことを思っている自分がいた。
悪魔なんて、みんなから嫌われてて、平気で人を傷つけちゃうような極悪非道な架空の生き物だって思ってたけど。
「どんなのが食べたいとかある?」
「あ?なんでもいいって。どうせオマエが作るのはどれも美味いんだろ。いちいち聞いてくんな」
どうやら、悪魔の彼とみんなの想像の悪魔とは、ずいぶん違うみたい___。