天使とピュアな悪魔の君と。
ありがたいことに最近は、たくさんお仕事をいただけて慌ただしい毎日を送っている。
学校に行く機会が少なくなってしまうのはちょっぴり寂しいけど、これも私が選んだ道。
「はい!失礼しまーす」
スマホを耳に当て、何もない空間に向かって頭を下げる。
ついつい癖でやってしまうのだ。
「ふぅ……」
スマホを耳から離して、赤いバツボタンをそっと押すと、通話終了の画面を見て静かに息を吐いた。
「誰?」
そんな私を見て怪訝に思ったのか、オムライスを食べていた手を止めた彼が首を傾げて私のスマホを見つめていた。
あぁ、そうだ。彼には芸能活動のこと、言ってないんだった。
少し帰るのが遅くなった日でも、「バイトだから」って嘘をついちゃったんだ。
「ば、バイト先の店長から……だよ!」
「はーん?」
絶対嘘だって気づかれてるよ……。
彼は、意味深そうに口角を上げると、何事もなかったかのように目線をテレビに戻してオムライスを食べ始める。
芸能活動してるって言ったら、絶対「さっさとやめて俺のために時間を使え」なんてめちゃくちゃなこと言われちゃいそうだし……。
しばらくは、お金を稼ぐためのバイトをしているということにしておこう。
___今、そう決心したというのに。