天使とピュアな悪魔の君と。




《本日のスペシャルゲスト、白川詩さんでぇーすっ!》


《こんにちは〜、白川詩です!》


「っ……!」


7時から始まった、幅広い世代に人気のバラエティ番組。

あぁ、まずい。すっかり忘れていた。

四角いテレビの中には、"私"がいて、他のタレントさんたちとトークを披露している。


やばい、バレちゃう……そう思った時にはもう手遅れで。


「……これ」


悪魔の彼の目線の先には、しっかりとテレビの中の"私"がいた。


「ちょっと、リモコン返して!」


芸能人としてのキャラクター、表情、声___全てが彼に晒されている、そう気づいた瞬間、カァァ……と顔に熱が集まる。

慌ててチャンネルを変えようとしても、リモコンが彼の手にしっかりと握られているせいでどうしようもない。



《いや〜、本当に詩ちゃんは天使だねぇ》


《芸能界の天使って呼ばれてるからね》


《そんな、天使だなんて。私、翼なんて生えてないですよ〜》


《あはは》



テレビからは、そんな会話がいやでも耳に入ってくる。


やだ……やめて。

天使なんて、言わないで。


おまけに、今日の昼休みのSNSチェック中に見てしまった『空から舞い降りた女優ー白川詩ー』なんていう見出しがでかでかと書かれたネットニュース記事。


《天使って言われたら嬉しいよねぇ》


《あはは、はい___》


仕事モードに切り替えれば、嘘のようにポンポンと出てくる嘘も。





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