天使とピュアな悪魔の君と。



世間から絶え間なく浴びせられる、『天使』という嘘でできたキャラクターも。


「オマエ、こーゆーのやってたんだ」


「……うん」


どうせバカにされちゃうのかな。

冷め切ったオムライスを見つめていると、隣に座っていた彼は「へー」と呟いた。


「……引いたよね、ごめんね、バイトも嘘」


さっきの電話も。そう付け足すけど、心の内側にまとわりついてくるモヤモヤはずっと消えない。

いけないのに。これから、今以上に頑張らなきゃいけないのに。

こんなところで弱気になってちゃ、いけないのに。


堂々としなきゃ___


「別にいいんじゃね」


「……?」


「つーか、だからオマエ最近死にそーな顔してたのかよ」


芸能人って忙しいんだよな、たしか。とかなんとか、呟きながら「ごちそうさま」と手を合わせる彼。


「引かないの?」


あまりにもあっさりとした彼に思わず、そんな質問を投げかけてしまう。


「あ?どこに引く要素あんの」


「……」


意味がわからない、と呆れた表情をした彼は、ふぅー……とため息をついた。


そして、次の瞬間___。


「わっ……」


ポンッ……と小さな音がしたかと思うと、すぐそばにいたはずの悪魔の姿はなくて。




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