天使とピュアな悪魔の君と。
リン……と、鈴のなる音が聞こえた。
そして、視界の端で黒い物体を捉える。
「みゃあ」
さっきまで彼が座っていた場所には、代わりにあの黒い仔猫が座っていた。
初めて変身した瞬間を見たものだから、あぁ、本当に悪魔は仔猫で、仔猫は悪魔だったんだ。と改めて実感する。
仔猫は、まるで私に甘えるようにすり寄ると、撫でてと言わんばかりにゴロンとお腹を私に向けた。
「か、かわいい……っ」
もしかして、私の曇った気持ちを察して慰めようとでもしてくれたのだろうか。
あの横暴で口が悪い悪魔だなんて想像もできないくらいに愛嬌たっぷり。
お腹を撫でてやると、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
「うん?かわいいねぇ、ほら、おいで」
小さな体を持ち上げて、胸の前で抱きかかえる。
「っ……!」
「名前考えないとね?どうしよっかぁ」
耳の後ろを撫でながらぎゅうっと抱きしめる。
抱きしめる力が強すぎて苦しかったのか、急に胸の上で抜け出そうと動き回る仔猫。
「ごめんね、ちょっとだけ苦しかったね……って、あっ」
仔猫を抱きしめる腕の力を緩めた途端、すっぽりと抜け出してしまった。
そして次の瞬間、再びポンっと音がしたかと思うと、もとの姿に戻っている悪魔。
気のせいなのかはわからないけど、悪魔の顔はまるでりんごのように真っ赤に染まっていた。
「あ……ごめん、苦しかった……?」
「……っ___んだよ」
「へ?聞こえな___」
「あ、当たってんだっつーの!!」
悪魔は更に顔を赤くすると、私の胸元を指差して叫んだ。
「えっ……」