天使とピュアな悪魔の君と。
「あっ、詩ちゃんおはよー。昨日のドラマよかったよ!」
「おはよう、ありがとね!」
「詩おはよう!」
数日ぶりの学校。
今日は午前中にお仕事があって、午後からの途中参加となってしまった。
教室に入ると、クラスメイトから声を次々にかけられた。といっても、芸能人だからといって、みんなに囲まれたりするわけではない。
なぜなら、私の通うこの学校、清輝高校には『芸能学科』という学科があるから。
もちろん普通学科の生徒の方が圧倒的に多いため、数少ない芸能学科の生徒をわざわざ見に来たりすることがないよう、別々の棟でわけられているけど。
だから、芸能人の生徒もストレスなくフリーな学校生活を送れる。
でも、なかなか学校に行けない私には、いつも行動をともにするような仲のいい友達がこの学科にはいない。
寂しいけど、仕方ないのかも。
それぞれの昼休みを過ごしている騒がしい教室を出て、私は昼ごはん代わりの菓子パンを片手に芸能学科の棟を降りる。
「友達欲しいなぁ……」
「できねーの?」
「わぁっ!」
体育館前の階段に腰を下ろして、そんなことを呟いた途端、ひょっこりと横から顔を覗かせたのは___
「もう、びっくりさせないでよ!敬也」
「はは、ごめんごめん」