天使とピュアな悪魔の君と。



仔猫の金色の瞳と視線が交わうと、仔猫は再び鳴く。

まるで、「連れて帰って」そう言わんばかりに。


「ごめんね……私のアパート、ペット禁止なの」


それに、私は家にいない時間の方が圧倒的に長いせいで、もし一緒に暮らすことになってもきっと寂しい思いをさせてしまうから。

しゃがみ込んで、小さな仔猫の耳裏を撫でると、その手にすり寄るようにして「もっと撫でて」とせがむ。


「うぅ……」


かわいい……。こんなに可愛いのに、放って帰るだなんて……。

しかも見た感じ、親猫が周りにいる気配なんてない。

もしここで私が帰ってしまったら、この仔猫はどうなっちゃうんだろう……。


撫でてあげると、ゴロゴロと喉を鳴らして甘えようとする仔猫に、胸がぎゅっと痛くなる。

こんなの、置いて帰る方が罪だよ。

私は仔猫をそっと抱きかかえた。



♥︎ ♥︎ ♥︎



そんなこんなで、あと先考えずに連れて帰ってきちゃったけど……。


「これからどうしたら……」


「みぃ」


底が低い皿に注いだミルクを美味しそうに飲む仔猫が、そんな私の呟きに返事をする。


真っ黒な毛に金色の瞳……。


そんな仔猫の首には、小さな鈴が付いていた。気づかなかったけど、もしかして、どこかの家から逃げ出してきちゃったりしたのかな……?



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