天使とピュアな悪魔の君と。
まあ、仕方ないか。
真っ暗でちょっぴり怖いけど、歩いて帰ろう。今日くらい我慢できる。
まだ明るさの残るテレビ局に背を向けた時だった。
「……詩?」
そんな声がすぐ横から聞こえたのは。
「え……敬也!」
私に声をかけてきたのは、ランニングの途中なのだろうか、スポーツウェアを着た敬也だった。
まさか偶然会うなんて……。
「撮影終わった?」
「うん、敬也は?」
「俺はちょっと走ってたんだよな。今日の部活物足りなくて寝れる気しなかったから」
さすが敬也だ……。
いつだって努力を怠らず、自分を磨いてる。
「そっか。……って、着いてきてくれるの?」
そして私は、さっきから思っていた疑問を口にする。
私と会ったことでサラリと横を歩いてくれているけど……。
「だって帰るんだろ?家まで送るよ」
「えっ、いいよ!申し訳ないし……!もうこんな時間なんだから、敬也こそ早く家まで___」
「詩ひとりじゃ危ないだろうが、こんな時くらい頼れよ?」
敬也が少し怒ったようにそう言って、私の頭にポンと手を置く。
「はぁーい……ありがと」
明日も敬也は学校があるし、申し訳ない気持ちでいっぱいだけど。
私は、「行くぞー」と少し進んだところで私は手を振っている敬也の優しさに甘えることにした。