天使とピュアな悪魔の君と。
数時間前___。
硬い床で寝たからなのか、軋む節々の痛みで目が覚めた。
「ん……」
カーテンの隙間から漏れる日光に目を細める。
もう朝……。
いけない、今日は学校だ。起きなきゃ。
でも、あと少しだけ寝たいな……。いいや、でも起きなきゃ間に合わない時間かもしれないし。
とにかく、時計を確認しなきゃ。
寝たい気持ちと、起きなければという気持ちが葛藤していたその時。
「……?」
ふっ……と、瞼の外側が暗くなったのを感じた。
それに、かすかに何かが動く気配がして、反射的に目を開く。
「っ……え……?」
一瞬、なにがなんだかわからなかった。
だって……。
「人間、か、オマエ」
「……へ?」
目を開けた先には、いつものように見慣れた天井が映っているのではなく、"顔"がドアップで映っていたのだから。
「つーか、こんな床で寝るとかバカじゃねえの」
ちょっと待って、もしかして私、寝ぼけてる……?
真っ黒なパーマのかかった髪の毛に、切れ長の目、そしてスッと通った鼻筋。
今私が撮影しているドラマで共演する俳優さんよりも……。
なんせ、とんでもなく顔のパーツが整っているのだ。
___いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。
「だっ、誰……!?」
寝起きで頭が回らない中、この人は誰なのか、そしてどうして私の部屋にいるのか……無限に湧き出てくる疑問がぐるぐると頭の中を掻き乱す。