赤い糸を離してくれない
「雫ちゃん、良かったら選んで欲しいの」

少し上目遣いで私に訴えかける。
そんな風にお願いされたら女の私でも怯んでしまう。

「わ、分かりました……ありがとうございます」

私はケーキに目を向けた。

まずショートケーキはお兄ちゃんが1番好きなケーキだから選ぶのは辞めておこう。
律人はチョコが苦手だけどこの中だとフルーツタルトが好きだと思うからタルトもやめよう。

そうするとチョコケーキかうさぎのケーキになる。
正直1番最初に惹かれたのはうさぎのケーキだった。

本当に可愛くてしばらく見つめてしまった。

でも葉月さんは可愛らしいしうさぎのケーキを食べてるのは絵になるだろう。
それに律人みたいにチョコが好きじゃ無い可能性もある。


よし、チョコケーキにしよう。
多分大丈夫……もしチョコケーキと言って葉月さんがショックを受けていたらすぐにうさぎのケーキにしよう。

私は息を呑んで口を開いた。
「チョコケーキ……良いですか……?」

私は葉月さんの顔を見た。
するとニッコリと笑ってどうぞと言ってくれた。

良かった……予想は外れてなかった……

私はチョコケーキのお皿を取ろうとした。
< 23 / 60 >

この作品をシェア

pagetop