赤い糸を離してくれない
「で、でも……私もう迷惑かけたくない。お兄ちゃんにも葉月さんにも……それに律人にだって」

ここに居たら今までと同じように皆んなに負担をかける。


「俺迷惑なんて思った事無いけど」
律人が少し拗ねるように言った。

「律人は優しいからそういう風に言うけど負担かけてるのは分かってるの」

ピアノのレッスンが終わった後も疲れるはずなのにピアノをまた弾いてくれる。
夜に勉強の時間を邪魔して私が泣いている日に必ず駆けつけてくれる。

こんな迷惑に決まってる。

「それにもしこのままお兄ちゃんが葉月さんと暮らせないんだったら私罪悪感で押し潰されそう」
我ながらずるい言い方だと思う。


「……はぁ雫の気持ちは分かった。でも本当に心配なんだ。」


「じゃあ俺の家に住めば?父さんも母さんも大歓迎だと思うけど」
律人がいきなりとんでもない事を言い出した。
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