赤い糸を離してくれない
「えっ!!嫌!!それこそ迷惑になる!!!絶対嫌!!!」

私は全身に冷や汗をかいた。
律人本人はいつも通りの調子だ。

「ダメダメダメ!!いくら律人でも嫁入り前の妹を同い年の男が居る家に住まわせるなんて……!」

お風呂とか覗かれたりしたらどうするだ!とかぶつぶつお兄ちゃんは呟いている。

「うーん……そうだな……あっ!律人の隣のマンションはどうだ?それならお兄ちゃんも様子見に行けるし」


「ここの周辺じゃなきゃダメ……?皆んなとは離れた遠い場所がいいと思うんだけど……」

遠くに住んだら律人との時間も無くなるだろう。
多分、というか絶対に寂しくて怖くなる夜も多くなると思う。
 
でも遠くに住めば律人もお兄ちゃんにも頼る回数が減って迷惑かけなくて済む。

 
「遠くなんて絶対にダメだ!一人暮らしするなら律人の家の隣のマンション!それが嫌ならここで今まで通りお兄ちゃんと暮らそう」


お兄ちゃんも律人の両親、いやそれ以上に過保護な気がする。


でもこれはお兄ちゃんなりに私の気持ちも汲み取ってくれた条件なんだろう。
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